2021.06.04 工場実習の思い出

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2021.06.04 工場実習の思い出

九工大は3年生の夏休みに工場実習に行くことが必修科目にあり、受け入れ先の会社のリストの中から自分で選択をして、3週間程その工場での実習を受けます。私は当時世界最新鋭の製鉄所だった新日鉄大分製鉄所に行くことにしました。圧延部に配属され、そこのスタッフ(研究員)の一員として過ごすことになりました。とても魅力的な東大卒の社員さんが指導官として研究を指導してくれました。機械工学を専攻された指導官が今回の私の実習に考えてくれたテーマは” 操業性を考慮した加熱炉における炉圧制御法の開発 ”というものでした。莫大な電力を使用する加熱炉において適温を維持した状態で消費電力をできるだけ減らすための扉の開閉時間と対応した最適な炉圧を見つけるというものでした。流体力学についての理解も必要でしたが、私の所属する学科では履修しないため、すぐに実家の母親に頼んで基礎的な流体力学の専門書を買って送ってもらいました。製鉄所の社宅である明野団地と工場とを直結する専用のバスが走っていて私はそれを利用した往復しかしないので大分の町がわかりませんでした。ちなみにバスは製鉄所の敷地内も走っていて各工場や建物の前にバス停があり、バスを利用して社員さんは製鉄所内を移動していました。バスは全て無料です。スケールの大きさに驚きました。皆に聞いたわけではありませんがスタッフには東大出身者が多かったようにありました。工場長も、私の後ろの背中合わせの席の方も東大卒でした。後ろの席の方にはベルヌーイの定理の使い方をチェックしてもらったことがあります。なにぶん急ごしらえの独学ですから。隣の方は慶応大の大学院卒でプログラミングを専門にしておられました。社内の話を聞かせてもらいとても参考になりました。初日に指導官からフロアの方々を紹介していただいたのですが、” この方が電気の神様です。”と紹介される方もいました。最先端の研究をされる人は皆さんそういう領域におられるのでしょう。20人強のスタッフは精鋭技術者であり研究者の集団でした。指導官の机を私が使っていたため、指導官は時々進捗状況をチェックに来られる程度でほぼフロアにはいませんでした。” 室内に籠っているとアイデアが浮かばないんだよな “と大分川沿いをドライブに連れて行ってくれたり、工場の圧延現場を見せてくれたりしました。指導官は位牌(本物ではありません)が置いてある変わったスナックにも飲みに歌いに連れて行ってくれました。社内のソフトボール大会にも出させてもらいました。ある晩九工大のOBが3人で私に” 明トラしよう ”と誘ってくれて社宅の1室で明トラをしました。九工大生は研究室で習うのでOBは全員明トラができます。大企業に対してはドライなイメージを勝手にもっていましたが、この会社の人々はとてもあたたかく、一人の実習生にこんなにもフレンドリーに接してくれるのかと感動しました。気持ち的には自分が社員の一人でいるような感じでした。さて、研究課題の進捗に関しては、指導官にはもちろんゴールがほぼイメージできていて、それに向けて私が実行して細部を詰めていくという形で進んでいました。その時々の状況を解析していくために必要な数学や物理学の活用についてお互いの意見を出し合ったりもしました。とにかく権威主義でなく堅苦しくないフランクな、血液型がB型の本当に魅力的な社員さんでした。今まではテキストや問題集の中でだけ勉強してきた科目を現場の現象の解明とコントロールに活かしていく、工学の真価を初めて体験させてもらえました。過去に似た問題など1問も解いたことはなく、すべて唯一の真新しい応用問題です。工学は多くが数学が基礎や柱になり、物理や化学と融合していくものだと思います。今、英語、数学、理科を中心に生徒たちを指導していますが、生徒たちはこれが将来の何の役に立つ勉強かは(大人の私たちもかつてそうだったように)まだよくわからないながらも、とにかく頑張っている状態だと思います。この生徒たちも将来は形は様々でしょうが社会に貢献してくれることと思います。一人ひとりが大切な役割を担うことでしょう。この頃入塾の面談時に” 何のために勉強するのか ”  ” それは人間らしくなるためだと思うよ “と話すことが多くなりました。人は生き物の中で決してずば抜けた肉体や感覚を持っているわけではありません。足の速さも筋力も視力、聴力、嗅覚も決してずば抜けてはいません。唯一ずば抜けているのが” 頭の良さ “だと思います。頭の良さを武器に生き抜いてきた先祖の子孫が現在の私たちだと思うのです。つぎつぎと未知の困難に遭遇していきますがこれからも必ず乗り越えていくことでしょう。コロナももうしばらくの辛抱というところでしょうか。工場実習の最終日に研究発表がありました。工場長をはじめとするスタッフの幹部10人ほどが楕円形の円卓に着き、隣に指導官が座ってくれ、私がB4用紙20枚ほどの手書きの論文を読んでいきました。読み終えた後に工場長が気迫のある声で” これは特許になる。このような難しいテーマを短期間でよく仕上げてくれました。このような題材は社内にはゴロゴロしているので再来年の春に当社に来てください。 ”とおっしゃってくれました。その言葉は今でも私を勇気づけてくれています。現在中3生があと数人で定員になろうとしています。興味を持っていただいている方がおられましたらお問い合わせください。他の学年の方からのお問い合わせもお待ちしています。

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